COLUMNコンサルタントコラム

(第1回)営業戦略の明確化~お客様は卓越した強みとしか付き合わない~

UPDATE : 2017/03/08

時代は大きく変わりました。ほとんどの業界の営業現場の悩みは「今までのやり方では売れない」ことです。
そして、指導するリーダー自身も答えを持てないままで、日々メンバーに努力を促しているのがより悩ましい
問題です。

 

過去の延長線上に答えはありません。
営業について、「全ての生業がバラバラで、法則性がなく、ほかの企業や業界の営業は参考にならない」という言葉が
多く聞かれます。しかし業界の常識に則って過去の延長戦で戦っていても、一向に光明が見出せません。

今求められることは、過去のやり方の延長を断ち切って、時代とお客様が求める営業スタイルは何かを分析し、
組み立て直すことです。

私のような営業コンサルタントに営業変革のオファーが来るのは、まだ経験していない将来を見据えて、
様々な業界の変革の歴史や原理原則に照らし合わせて客観的に分析し、新しい営業のスタイルを
具現化する必要があるからです。

これから「営業戦略の明確化」「営業成果を高める活動」「目標達成する業績マネジメント」というテーマで、
三回に分け、営業変革のための構造的問題の整理とその解決の方向性を解説していきます。

 

 

営業力の上位概念である商品戦略、営業戦略に関わる方向性が正しくなければ、どんなに優秀な営業マンが
いても成果に結び付けることができません。そこで第1回は「営業戦略の明確化」から解説致します。

 

 

「営業力とは」

営業力を大きく2つに分けると、商品力と販売力になります。それを式に表すと下記になります。

営業力 = 商品力 × 販売力 

 

どんなに販売力が強くても、商品の魅力がなければ売れません。
どんなに商品力が強くても、販売力が弱ければ商品の良さをお客様に認識させることができません。

当社では、いろいろな企業から営業力強化のオファーをいただきます。その際、営業力強化の課題が
販売力に偏り、営業スキルの問題や営業マン育成の問題と捉えているケースが多く見られます。
しかし、現場の声を聞いていくと販売力の前に商品力の問題があり、「差別化されていない商品、優位性が
明確でないサービス」を販売している実態が一番多いのです。
商品力の弱い商品で営業するということは、「勝てない武器」で必死に戦っているのと同じなのです。

このことは会社の事業戦略そのものの問題です。そのことを上司やリーダーが気づいていても、
過去の延長線上に考え、抜本的な改革に乗り出していないことが多いです。

営業のコンサルティングさせていただく際に、最初に整理するのがこの課題です。
営業マンがお客様に自社商品の優位性について自信を持って伝えられないとしたら
お客様はその商品の魅力を感じるでしょうか?

※明らかに差別化ができていて、優位性がある商品を売っている営業の方は
販売力強化(営業スキル、営業マン育成)、組織運営(マネジメント)の課題としてとらえて下さい。

 

市場の成長が期待できない中、相見積もりやコンペや、新規参入が常態では優位性が見えなくなった瞬間に
競合に取って代わられてしまいます。

たとえ過去実績のおかげでリピートしているという取引であっても、数ある競合と比較して、他社を選ばない理由や
自社の商品を選んでくれる理由を明確に認識していなければ、やはり競合に足元をすくわれます。
実績のない競合が新規でアプローチするときは、自社の強みは同等にカバーできて、自社の弱みに競合の強みを
ぶつけて攻めてくるからです。
だからこそ、上司である管理者は、お客様との関係性や優位性を明確に認識して囲い込むよう指導しなければ
いけません。

 

「営業戦略を明確にする」

営業力の土台となる事業の定義は、エーベルの3次元を活用すると3つの軸で表現します。
「どういうお客様(WHO)に、どういう価値(WHAT)を、どのように(HOW)買っていただくか」を
明確にすることです。

A.WHO(お客様との関係性)
B.WHAT(お客さまに期待される価値)
C.HOW(提供方法)

上記の3つの軸に営業の焦点を考えると、営業スタイルは3つのモデルに分類されます。

まず、あなたの業界の標準パターンはどれでしょうか?

単純に薄利多売効率化型が容易で、高付加価値深耕型が難しいというわけではありません。
これはお客様が求める価値によるからです。
高付加価値深耕型は組織・個人の技術力や問題解決力が求められます。一方で薄利多売効率型は組織の
効率的な仕組み、安く提供できるパターン化、広いターゲットに対応できる体制が求められます。

 

競合がひしめく中で2番目以下は選ばれません。

中途半端や曖昧な強みは意味をなさず、お客様はその会社の卓越した強みとしか付き合わないからです。
そこで競合との比較でどれだけ明確に優位性をお客様に認識していただけるかがビジネスでの勝負となります。
お客様から評価されている自社の強みは何か、何を優位性として独自のポジショニングを考えることが重要です。

この3つのモデルに沿って、営業の焦点をずらしていくことが営業変革の基本パターンです。

(1)業界標準が効率性や安さで認識されていれば、さらに磨きをかけて、追従を許さないNO.1の
ポジションをつかむ。

(2)ある1点で敵わないのであれば、複数の総合力か、焦点をずらして差別化して、柔軟性や対応力、
高い問題解決力を強化して、深く入っていくスタンスをとる。

(3)業界標準が複雑に高度な技術力や問題解決力を前面に出していれば、パッケージ化して
安く手軽さを売りにする。

 

市場の全てのお客様を相手にするわけではないので、わかりやすく、優位性のあるポジショニングをします。
売れるものが見えなければ営業成果が上がらないのは当然です。
まずは市場を見据え、広さと深さを変え、競合を意識した「相対的な強み」を活かせるポジショニングを
いち早く決める必要があります。
そうして変えた営業の焦点を営業戦略・営業計画に盛り込んでいき、営業が自信を持って商品サービスを
案内できるようにするのです。

営業力を強化する為には、営業現場の(属人的な)個人の力に頼るのではなく、売れる仕組みを作るという
営業変革を最初にしなければならないのです。
このことは、事業そのものを強化することであり、全社一丸となって優位性のある商品を生み出す活動と
連動させることになります。

事業を強化することで商品力を高める仕組みを作ることができ、それが営業力強化につながっていくのです。
次回は、営業成果を高めるための有効性のある、効率的な活動は何かを解説いたします。

【コンサルタントプロフィール】

和田一男
(株式会社ブレインパートナー 代表取締役 組織変革・営業変革コンサルタント)
北海道小樽市出身。(株)ヒューマン・キャピタル・マネジメント取締役。大学卒業後、1985年(株)リクルート入社。2000年独立し、(株)ブレインパートナー設立、代表取締役就任。経営力強化、実行力強化支援、営業力強化コンサルティング、実行機能としての組織構築、組織変革コンサルティング、人材育成、人事評価制度構築、目標管理制度運用支援を行っている。著書「30歳からの営業力の鍛え方」(かんき出版,2006年)、「ドラッカー経営戦略」(明日香出版社,2012年)

 

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