COLUMNコンサルタントコラム

啓発型営業と「潜在ニーズを引き出す」質問力

UPDATE : 2016/09/23

営業マンのスタイルは業種・業態や経験の深さによって4つに分類できます。
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②問題解決型営業は顧客がすでに認識している問題、顕在ニーズに対処する。業務改善やコスト削減ニーズへの提案タイプですが、①啓発型営業は顧客がまだ明確に認識していない課題、潜在ニーズに光を当て、競争力向上・差別化や売り上げ拡大、ビジネスモデル転換への提案タイプで、②より高度な営業経験やスキルが求められます。

潜在ニーズとはご存知の通り「可視化できない目に見えない顧客のニーズ」。つまり顧客自身も知らないニーズです。顧客自身も知らないことなのですから、周りの誰かによって引き出されるまでは認識できません。
この「周りの誰か」の役割をはたして、顕在化したニーズを満足させる営業スタイルが啓発型営業です。

そして、潜在ニーズを顕在化させる最も有効な手段が「質問」なのです。

「効果的で意図を持った質問」を行い、潜在意識を顕在意識として引出して成果に結びつける
ステップを以下にまとめました。参考にしていただければ幸いです。


【ステップ1】顧客の状況を把握する質問

自社が提供するサービスについて、まずは、お客様が今現在どのような状況にあるのかを尋ねます。お客様がYESまたはNOでこたえられるクローズドクエスチョンと、「どのような状態か?」などのように、制約を設けず自由に答えてもらうオープンエンドクエスチョンを上手に組み合わせて質問します。


【ステップ2】顧客の不満・問題点(顕在ニーズ)を掴む質問

現状に対してお客様が感じている不満や、問題点が顕在ニーズです。「今の状況について、ご不便を感じていらっしゃるところはありますか?」「ご不満な点はございませんか?」と率直に尋ねます。
ここでお客様が口にした問題点に対し、すぐに提案するのが②問題解決型営業。より大きな商談に発展させるためには、ステップ3の啓発営業につながる情報を引き出します。


【ステップ3】顧客のまだ気づいていない課題(潜在ニーズ)を引き出す質問

お客様の顕在ニーズをさらに深堀する質問で、営業としての経験やスキル、想像力が問われます。
顕在化している不満や問題点が、他の、より深刻な問題を引き起こす要因になることがないか?仮説を経て、お客様に気づいていただくための質問を投げかけてみましょう。

(例)CADシステムの営業。
・状況:数年前に導入した他メーカーのCADシステムが買い替えの時期に来ている。オペレーター3人。オペレーターからは使いづらいと不満が出ている。
・使いづらいという事ですが、そのことで生産性にどのような影響が出ていますか?
・使える人が3人しかいないことは、ボトルネックになっていませんか? 有給休暇を取られることもあるでしょうし。
・使いづらいという事がオペレーターの定着率を下げているという事はありませんか?
・オペレーターの入れ替わりが早いという事は、操作研修や訓練に費やすコストはどれくらいになるのですか?
・オペレーター不足を残業や外部委託で補うのは、さらにコストが上がるのではありませんか?
・外部委託の場合、委託先の納期予定に振り回されることはありませんか?


【ステップ4】引き出した問題点が解決した時に得られる付加価値を認識させる質問

ステップ3で潜在ニーズを顕在化させたら、その顕在問題が解決することでお客様が得ることのできるメリットの大きさに気づいてもらうための質問を投げかけましょう。
(例)
・もし、この問題が解決したら、他の問題を引き起こす心配がなくなりませんか?
・もし、誰にでも簡単に操作できるCADシステムがあれば、研修コストや時間ロスも無くなり、CAD製図部門の生産性は上がるのではないですか?
・CADシステムが扱いやいものになると、オペレーターの方々のモチベーションも高まり、定着率も向上するのではないですか?


【ステップ5】顧客の利益を生み出す提案

その問題を解決することがお客様の利益になることを、お客様自身が十分に認識したことを確認してから、ようやく提案(プレゼンテーション)に入ります。
プレゼンテーションは、特徴や機能、メリットを語るのではなく、お客様の利益に着目した構成にします。

ステップ5のプレゼンテーションについては、次回に譲ります。

 

 

【コンサルタントプロフィール】

和田一男
(株式会社ブレインパートナー 代表取締役 組織変革・営業変革コンサルタント)
北海道小樽市出身。(株)ヒューマン・キャピタル・マネジメント取締役。大学卒業後、1985年(株)リクルート入社。2000年独立し、(株)ブレインパートナー設立、代表取締役就任。経営力強化、実行力強化支援、営業力強化コンサルティング、実行機能としての組織構築、組織変革コンサルティング、人材育成、人事評価制度構築、目標管理制度運用支援を行っている。著書「30歳からの営業力の鍛え方」(かんき出版,2006年)、「ドラッカー経営戦略」(明日香出版社,2012年)

 

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